あらすじ
西暦2206年、世界は混迷へと陥った。
科学なら神すら造れると盲信し、野心と欲望を肥大させたエテーテル研究機関。
度を越えた科学に恐怖し、「毒を以て毒を制す」という選択を下した世界統一軍。
『命』をめぐり、世界各地で科学力と軍事力が激しく衝突した。
長い戦いの末、戦争は世界統一軍の辛勝という形で終結する。
――だが、歪んだ科学が消えたわけではなかった。
生き残った研究機関の研究者たちは姿を消し、信仰の皮を被ることで生き延びた。
国家から切り離された者。戦争の裏で切り捨てられた技術者。
神を見たという体験から狂気に囚われた者たち。
彼らは互いを引き寄せるように集い、世界の目が届かない地下へと潜っていった。
戦後、エテーテル研究機関が生み出した遺伝子改造を受けた人間たちは人権を与えられ、各国の社会へと溶け込んでいく。
それから百年以上が経過した、西暦2316年。
遺伝子改造を受けた人間を先祖に持つ者は「被験体の末裔」と呼ばれ、表向きには社会に受け入れられていた。
だがその裏で、世界各地では今もなお、エテーテル研究機関による「能力者狩り」が続けられている。
反社会的勢力を使い、警察と軍の管理下で、それは事件にならない形で行われていた。
名前は変わらない。裁かれることもない。
世界はそれを、見なかったことにしたまま、今日まで進んできた。
その歪みは、一つの地方都市で、二人の少女を中心に静かに動き始める。
それは、彼女たちにとって「最初からそういう世界」だった。
--------
この話は暴力と流血が当たり前を前提にした、人の心が無いジャンルです。
喧嘩が日常の中学生の霜月 怜(しもつき りょう)と、アメリカから来た転入生のシアリー・T・ウェンチェスター。
科学と軍が衝突する世界で、二人の少女が日常と非日常を往復する。