あらすじ
【実録:現在進行形ノンフィクション・ノベル】
「給料はすべて渡している。それなのに、なぜ、あと15万円も必要なんだ?」
2022年11月。カタールW杯の熱狂に沸く日本で、一人の男の日常が音を立てて崩れ去った。都内近郊の企業に勤める46歳の会社員。真面目に働き、組織の歯車として、そして家庭の「集金機」として生きてきた。しかし、妻から突きつけられた無慈悲な追加要求が、彼を家から、そしてこれまでの人生から突き動かした。
財布とスマホだけを手に始まった家出生活。
ビジネスホテルを転々とし、味のしないつけ麺を啜る孤独な夜。家族からの連絡は一切途絶え、自分が「居なくてもいい存在」だったという残酷な事実に直面する。
絶望の淵で彼が始めたのは、SNSという外の世界への発信だった。
「46歳、家出しました。」
ありのままの事実を投稿した動画は、ネットの海で爆発的な反響を呼び、見ず知らずの他人からの声が、冷え切った彼の心を揺さぶり始める。
風呂なしのボロアパートで見た「未来の自分の姿」への恐怖。
そして、ようやく手に入れた自分だけの小さな城。
これは、虚飾を一切排した、ある男の「再生」の記録である。
家出をしたあの日から、物語は止まることなく今も続いている。
なぜ夫婦は壊れたのか。自立とは何か。本当の幸せはどこにあるのか。
その答えを探し続ける、46歳のリアルな現在地がここにある。
【今回の一訓】
「事実は、どんな創作よりも残酷で、そして美しい。過去を悔いるのではなく、今起きていることをただ書き記す。それが、奪われた自分の人生を取り戻すための、唯一の抵抗なのだ。」