あらすじ
過労で死んだ元サラリーマンは、異世界の辺境の村に転生した。
名前はユウ。特別な力もなく、ただ静かに暮らしていた。
5歳のとき、村を魔獣が襲った。逃げ遅れたユウを身を挺して守ったのは、駐在騎士のリーゼ。彼女は右腕を失い、騎士団を除隊された。
「お前が気にすることじゃない。私は自分で選んだんだ」
リーゼは笑ってそう言った。しかしユウは知っている。剣を振れなくなった彼女が、夜中にひとりで泣いていたことを。
10年後、成人の儀。ユウが授かったスキルは「継承(リレー)」。他者のスキルを借りられるが、相手が自らの意志で託さなければ発動しない。出力は5分の1。持続は72時間。同時保持は3つまで。
「――ハズレだな」
村人たちはそう言った。
だがユウは知っている。この世界のどこかに、失われた腕を再生できる伝説の治癒術があることを。
そこにたどり着くには、力がいる。仲間がいる。何より、信頼がいる。
誰かに信じてもらわなければ、このスキルは一切使えないのだから。
「リーゼさん。俺、旅に出ます」
「……何を言ってるんだ、急に」
「あなたの腕を、取り戻しに行きます」
信じてくれた人の数だけ強くなる。
これは、たったひとりの恩人を救うために世界を歩いた男の物語。