あらすじ

デジタル化が進む街の片隅で、時代遅れの「手紙屋」を営む青年・トウヤ。 彼の店のカウンターの隅には、古びたアンティーク調のレターボックスが置かれている。 特別な封蝋をしてその箱に入れれば、過去の特定の時間へ「一度だけ」手紙を送ることができるという。 ただし、二つの絶対的なルールがあった。 一つ。過去の事実は絶対に変わらないこと。 二つ。手紙を送る代償として、その相手に関する「自分の中で一番大切な記憶」を一つ、永久に失うこと。 トウヤ自身もまた、10年前に突然命を絶った幼馴染・ミウへの強い未練を抱えていた。 彼女はなぜ死ななければならなかったのか。 どうしても真実を知りたいトウヤだが、「彼女との一番大切な記憶」を失う恐怖と、たった一度のチャンスを無駄にできないという葛藤から、自ら箱を使うことができずにいた。 「過去に手紙を送れる」という都市伝説のような噂を聞きつけ、店には様々な後悔を抱えた客たちが訪れる。 絶縁したまま死別した父親へ。事故で亡くなった恋人へ。 客たちが記憶を失う代償を払い、過去へ手紙を送った瞬間。彼らの脳内には、過去の相手が手紙を読んだ「その瞬間の映像」だけが流れ込んでくる。 ある日、トウヤは気づく。 客たちが映し出す全く無関係なはずの「過去の映像」の背景に、10年前に死んだはずのミウの姿が、断片的に映り込んでいることに。 客の過去をパズルのように繋ぎ合わせることで、死の直前の彼女の足取りが少しずつ明らかになっていく。

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小説を読もう2026/03/03
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