あらすじ
離婚を機に古い団地へ越してきた犬元は、入居初日に自治会長から一方的に「鬼役」を任される。渡された古い記録簿によると、「鬼役」は団地で起きる怪異や孤独死など“鬼籍に関わる事案”を処理する役職らしい。
向かいの506号室には白髪の老婆が住んでいるように見えたが、住民の話では「何年も空室」。しかも老婆には影がない。その夜、犬元の部屋では壁や天井から不可解なノック音が鳴り響き、怪異は急速にエスカレートしていく。
記録簿を読むと、犬元は自分の部屋が過去に殺人事件の現場となり、団地全体の怨念が集まる“吹き出し口”であることを知る。そして、団地に積み重なった死と孤独が自然に形を取った存在――あの老婆が、静かに彼を見つめていた。
*超・妄想コンテスト「鬼」応募作品