あらすじ
20××年。
環境破壊も戦争も、人間の「欲求」こそが原因であるという思想が世界を覆っていた。
怒りや嫉妬、所有欲といった危険な感情を排除すれば、人類は真に平和になれる――そう信じられていた。
その理想の実現を担ったのが、心理データを解析・再構築する新学問「心理データ再演し学」の第一人者、アニウム博士である。
AI技術は、2012年の画像認識革命、2017年のTransformer技術の飛躍を経て、ついに感情を持つ「ロボット人間」を社会へ送り出した。
だが、そのロボットたちはやがて人間と同じように欲求に支配され始める。
理性の象徴であったはずの存在が、再び欲望を抱いたとき――
博士はある決定的な真理を悟る。
人間性とは何か。
欲望は排除すべき欠陥なのか、それとも存在の証明なのか。
理性と感情の境界を問う、思索的ディストピアSF。