あらすじ

「これ、なんの本? ここ、なんて読むの?」  十二歳のきみにはまだ読めない字もあったのだろう。 「この国の短い詩と、隣の国の詩をまとめた本だよ。千年くらい前の人がね」  きみの指さす先にあった文字をゆっくりと読みあげる。 「昔一緒に親しく遊んだ友人は今はもういなくなって、雪や月や花を見ると、とりわけ君を懐かしく思い出す。そういう意味の詩だよ。  もとの詩はもっと長いけれど、この本をまとめた人には、この部分が特に響いたんだろうね」  僕も好きだよ、と言うと、きみの黒い瞳に明るい光が差しこむ。 「『雪月花』って、術の名前みたい」 「術?」 歳の離れた僕ときみの、記憶の話。

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エブリスタ
エブリスタ2026/03/02
  • 現在の作品露草色の青い薬