あらすじ
正しいはずの朝
朝、街はいつも通り目覚めた。
誰も疑問を持たなかった。
それが一番の異常だった。
新聞は、まだ起きていない事件を一面に載せていた。
見出しには、明日起きたことが書かれている。
日付は今日だ。
人々は頷きながら新聞を畳んだ。
「やはりそうか」と、
まるで記憶を確認するように。
交差点では、
事故の跡だけが残っていた。
救急車も、警察もいない。
理由は単純だ。
事故は、まだ起きていないからだ。
窓の外で、
サイレンが鳴り始めた。
これから起きるはずの事故のために。
私はコートを掴み、
事務所を出る。
この街では、
事件より先に、
探偵が試される。