あらすじ
平安中期。
山城国の小村を襲った鬼により、少年・朔はすべてを失う。
ただ一つ残されたのは、父の形見の退魔太刀――残月。
その刀は鬼を斬るたび、相手の“最期の感情”を朔に流し込む。
そして鬼を祓うたびに、朔は自分の記憶を一つ失っていく。
村を滅ぼした鬼は、最期にこう呟いた。
「……都へ行け」
その言葉の意味を知るため、
朔は一人、都を目指して歩き出す。
山野を越え、宿場を渡り、
名もなき村で鬼を討ち、
人の弱さと哀しみを知りながら。
鬼とは何か。
人と鬼の境はどこにあるのか。
旅の果て、都の闇に潜む“最初の影”へと辿り着いたとき――
朔はまだ“自分が何者であるか”を覚えていられるのか。
これは、
失いながら進む少年の旅の記録。
忘れていく物語であり、
それでも前へ歩く物語。