あらすじ
優れた魔法使いであることが貴族に必須とされる社会において、伯爵家に生まれながらも魔法の才に恵まれなかったロミリアは、17の歳に伯爵令嬢の名を完全に剥奪されて、ただの使用人に成り下がった。
それから3年の月日が流れ、ロミリアの妹であり、まもなく正式に伯爵令嬢になろうとするプラリネが〝獅子王〟と恐れ慄かれるクロフォード侯爵と婚約することが決まる。
時を同じくして、ロミリアは、8人の妻を持ち彼女たちに日常的に暴力を振るっていると黒い噂の絶えない子爵と政略的な結婚をするよう両親から命じられる。
子爵との婚約が実質的な死を意味すると理解しているロミリアは、その選択を迷わずした両親の冷めた愛に涙を流し、新たなる人生を始めるべく伯爵邸からの脱出を試みる。
その最中、足を滑らせて高所から落下し、死を覚悟する。
「よもや夜月から想い人が降って来ようとはな」
しかし、落下が止まっても死がロミリアに絡みつくことはなく、代わりに力強い温もりが彼女を抱き留めていた。
冷徹ながらもかすかなあたたかさを孕んだその声の主は、日中にロミリアが怪我した子猫を助けるために無礼を働くもあっさり許してくれた寛容な金髪の貴族――〝獅子王〟と恐れ戦かれるクロフォード侯爵だった。クロフォードは威圧感こそあれど、噂に違いあたたかな人柄をしていた。
「……侯爵様?」
「如何にも。俺はクロフォード・サディエ。
明日ロミリアと再婚する予定の侯爵だ」
「ふぇ?」
その言葉通り、クロフォードはプラリネとの婚約の話を破談し、ロミリアを妻として娶る。
こうして、かつて伯爵令嬢だったロミリア・ライバルは、伯爵邸に仕えるただの使用人のロミリアへと成り下がり、そして侯爵に嫁いだロミリア・サディエと大出世を果たしたのである。
――これは、侯爵夫人となった元使用人が、愛を知り、幸せにたどりつくまでの物語である。
※今作品は毎日19時の更新を予定しています。
「異世界“最かわ”ヒロインコンテスト」参加作品です。