あらすじ
「無様だな、エルゼ! 貴様、今度はミアに何をするつもりだった?!」
学園の食堂でトマトシチューをぶっかけられ、婚約者の第一王子アラルから断罪を突きつけられた公爵令嬢エルゼ。
その瞬間、彼女は思い出した。ここが乙女ゲームの世界であること。そして、自分が前世で「無能な上司に実績を横取りされ、お局扱いされて放逐された社畜」だったことを。
(またなのね。……また、実力のない『お気に入り』が、必死に生きてる人間の居場所を奪うのね)
恋心は一瞬で冷め、残ったのは極低温の理知。
エルゼは「破滅する側」を辞め、王子を「社会的・政治的にリストラ」することを決意する。
協力相手に選んだのは、学園で「薄気味悪い特待生」と疎まれる黒幕、ヴィンセント。
「こんにちは、私の詐欺師さん。退屈な学園生活に、刺激的な『共犯』は欲しくなくて?」
エルゼは彼を「雇用」し、復讐のタクトを振る。
エルゼが直接手を下すことはない。
王子が「手柄」や「正義」と信じて、自ら王家の支柱を叩き折るよう、優雅に「事務手続き」を整えるだけ。
半年後の卒業パーティー。絶頂の瞬間、王子は気づくことになる。
自分を守る盾も、支える柱も、逃げるための梯子も、すべて自分自身の「署名」によって粉砕済みだということに。
「兄上。貴方は利用されている」
実の弟から放たれたその言葉に、アラルは絶叫する。
「黙れッ! 私を侮辱するか! 衛兵、この反逆者を今すぐ連れて行け!!」
自ら逃げ道を塞ぎ、孤立した王子の前で、エルゼは優雅に微笑む。
「私は何もしておりませんわ。……すべて殿下のご意志通りですもの」
これは、元社畜のお局令嬢が、法と書類と黒幕を使い、無能な組織を合法的に解体して玉座を奪い取るまでの物語。