あらすじ
港で働く景司は、親友・徹の事故死をきっかけに、自らの弱さと向き合うことになる。現場の危険を訴え続けていた徹を、景司は組織の和を乱す存在だと疑い、心のどこかで「裏切り者」とさえ思ってしまった。しかし徹の遺した帳面には、仲間の命を守ろうとする切実な記録と、景司を気遣う言葉が残されていた。遅すぎる理解と届かない謝罪。再調査によって港の安全は改善されるが、徹の名は公式には残らない。それでも景司は悟る。ともに同じ風の下で働いた時間こそが、かけがえのない縁だったのだと。信じられなかった悔恨を胸に、それでも信じると決めて歩き出す。これは、失ってから気づく友情の重さ。