あらすじ
小学三年生の九月。
住宅地の外れにある林が、私たちを呼んだ。
『こっちへ、こい』
風もないのに揺れるニセアカシア。
葉擦れの奥から聞こえる、低い声。
怖いはずなのに、私たちは林の中へ入ってしまう。
そこで見つけたのは、枯れ葉に隠されたダンボール箱。
“見つけてほしかった”もの。
箱の中身を見た瞬間、世界は何事もなかったように戻った。
大人は誰も信じなかった。
そして十年後――
あの林があった場所には、白い家が建っている。
それでも私は、知っている。
あそこには、まだ何かがいる。
埋められた土地と、消えない記憶を描く、静かな怪異譚。