あらすじ
愛を知らないふたりが、愛を探し、愛に触れ、そして――愛に溺れていく。
母の愛を知らずに育った少女、桐ヶ谷結。
母の愛に疲れ、愛を遠ざけてきた少年、八代海斗。
壊れた家庭で心をすり減らしてきたふたりが、“家族”という名の再婚によって同じ屋根の下で出会う。
初めはただの他人。
けれど、互いの沈黙の奥にある孤独が重なったとき、ふたりの間に、言葉にならない“ぬくもり”が生まれた。
愛を知らないふたりが、同じ家の中で“ぬくもり”に触れたとき、それは禁忌でもあり、救いでもあった。
愛を欲してはいけないと知りながら、愛さずにはいられなかった。
これは、他者と自分の境界線の中で揺れながら、「それでも、あなたのそばにいたい」と願ったふたりの物語。
世界がどれだけ否定しても、自分の選んだ痛みを“愛”と呼びたくなる――。
生きづらさの中で、それでも息をしていたいと願う人々へ捧ぐ、静かで痛い、再生の恋愛譚。