あらすじ
その鬼神は、人に斬られた。
酒に毒を盛られ、仲間が襲われるのを見届けた末の、静かな最期……のはずだった。
目を覚ますと、そこは剣も神も知らぬ異世界。
魔法と魔物が跋扈する世界で、彼はただ静かに盃を傾ける日々を望む。
そんな彼の前に現れたのは、白銀の髪を持つ妖狐・タマ。
「変わらないね、あなたは」
戦うことを避け、対話を選ぶ鬼神に、
正体を隠して生きる少女は驚きと共感を抱いていく。
王国の思惑、魔族の影、古竜の咆哮。
世界は静かに歪み始めている。
それでも、
盃を手放さず、ただ穏やかな日常を選ぶ鬼と、
逃げることをやめた妖狐が紡ぐ、
やさしくて不器用な異世界譚。