あらすじ

六十六歳の紀子は、九十四歳の母と団地で二人きりの暮らしを続けている。終わりの見えない老老介護。エレベーターのない階段、繰り返される毎日、少しずつ積み重なる疲れ。現代社会のなかで、誰にも弱音を吐けないまま、母への愛情さえ見失いかけていた。 ある夜、紀子は通販サイトで思い詰めた買い物をしようとする。そんなとき、「あなたへのおすすめ」に現れたのが〈三歳にもどるボタン〉という不思議な商品だった。説明もなく、小さなカプセルに収まった丸いボタン。 半ば冗談のようにそれを手に入れ、そっと押した瞬間――二人の世界に、やわらかな変化が訪れる。 それは、忘れていた温もりに触れるような出来事。すれ違いの奥に確かにあった想いを、もう一度見つめ直す時間。 老老介護という厳しい現実のなかで、それでも消えなかった愛情のかたちを描く、静かな現代ファンタジー。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/03/01
  • 現在の作品三歳にもどるボタン