あらすじ
「拝啓 深山栞様。あなたがこの手紙を読んでいるころ、僕はこの世界にはいないでしょう」
大学を卒業し、なんとなくコンビニバイトで日々をやり過ごしていた深山栞の元に、ある日、二人の刑事が訪ねてくる。
孤独死した一人の男が遺した、不可解な遺書と、完璧に修理された古い腕時計。
瀬尾漣(せお れん)。
聞き覚えのないその名前。けれど、手渡された時計の裏蓋には、幼い日の栞が刻んだはずの「北極星」の印があった。
それは、栞が人生の絶望の中で叩き壊し、とうの昔に失くしたはずの思い出。
彼はなぜ、この時計を持っていたのか。なぜ、名前も忘れた自分に遺書を遺したのか。
止まっていた時間が、彼の死によって動き出す。
遺された足跡を辿る旅の終わりに、栞が知る「あまりにも深く、あまりにも切ない無償の愛」の正体とは――。
これは、遺書から始まる、世界で一番優しい再生の物語。