あらすじ

牛が食べたい。だが中年になると、欲望だけでは突っ走れない。精肉コーナーで待っているのは、霜降りの和牛サーロインの誘惑と、胃もたれの未来予測と、財布の現実だ。ヒレは魅力的だが高い。モモか、脂の少ないオージーのサーロインか。スマホで計算するのは妙に恥ずかしくて、100gあたりの値段と割引率を頭の中で必死に暗算し、結局「下から二番目」という落としどころに着地する。家に帰り、肉がフライパンでジューと鳴って匂いが立った瞬間、「やっぱり買って正解だった」と確信するが、仕上げのステーキソースは二切れ分しか残っていない。醤油わさびと大根おろしのたれで立て直し、最後に「得した気分」の正体が静かに残る短編。

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カクヨム
カクヨム2026/03/01
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