あらすじ
アルカナム聖王国の聖騎士団長エヴァンは、目を覚ますとデュラハン《首無し騎士》となっていた。
王国諜報部長の魔術師ニケアが目覚めた彼を見下ろした。彼女もミイラ男のように全身に包帯が巻かれていた。
「いや~禁呪でアンデッドにしてゴメンね~。でも、死んでも死にきれないじゃん。ワタシもアンタも」
ニケアの足元には影がない。彼女も生者ではないということだ。
エヴァンは全てを思い出した。二人は侵略国ゴアとの和平交渉の席で毒を盛られて亡くなったのだ。
「エヴァン、聖王女ちゃん……助けたいでしょ」
聖王女セイリア。女神の化身と呼ばれる聖女騎士で、騎士団と国民のアイドル。
この戦争は彼女が持つ聖なる力を手に入れるために起こった。
見回すと、騎士団の同僚がみんなアンデッドになっていた。
ヴァンパイア、ゾンビ、グール、スケルトンなどが聖王国の騎士服で整列する。
亡者たちは騎士団長エヴァンに一斉に剣を掲げた。みんな、死んでも死にきれないのだ。
「よし、貴様ら、もう死んでるけど、納得して死ぬぞ!」
エヴァンはアンデッドの騎士団を束ねて、聖王女救出に出撃する。
これは、死んでるけど、死にきれない者たちが、死んでいるけど生き様を見せる、散り際の美学の物語。
聖王女ちゃんに近づくと浄化されちゃうから、守るの難しいんだけどね。