あらすじ
聖女ティリア・イェツラーは、二十歳の誕生日に“世界を救う祈り”を捧げる――そう信じて生きてきた。
白い神殿、月明かりの祝福、そして幼い頃から彼女を支え続けた婚約者フィーロ・ゾハール。儀式の瞬間、彼がくれるのは温かな励ましと、未来の約束のはずだった。
だが、祈りを捧げようとしたその刹那。
フィーロは穏やかな笑みのまま告げる。
「今から君には死んでもらうよ」
背中を貫く刃。血に濡れる手。優しく頭を撫でる指先。
【聖女の使命】の正体は、生け贄となることだった。
世界の平和の代わりに奪われる、彼女の命。
得られるはずだった海を見る約束。
そして何より、信じていた人間に裏切られた痛み。
絶望の中でティリアは誓う。
――許さない。絶対に、このまま終わらせない。
白い光が彼女を包み、儀式が終わったその時。
誰かが囁く。
「じゃあ、変えてみたら? きみの運命を」
次の瞬間、ティリアは――
一度目の死から始まる、運命への反逆の物語。