あらすじ

「被告人――は、死刑に処す」 ――だろうな。 男はふんと鼻で笑った。 とある法廷。重く張りつめた空気の中、裁判官の声だけが冷たく響く。 複数の殺人の罪に問われた男は、証言台の前に立ち、その宣告を受け止めていた。 死刑――確かに、重い響きだ。だが、わかりきっていたことだから驚きはしない。何人も殺し、奪い、犯してきたのだから、むしろそうならないほうが不思議なくらいだ。 もちろん命は惜しい。だが、判決が覆るはずもないだろう。国選弁護人は形ばかりの弁論を読み上げ、情状酌量の余地を並べ立てはしたが、そこに熱はなかった。まるで作業工程をなぞっているみたいに。 ま、残された時間で手記でも書いてみるか。“楽しい思い出”もいくつかあるしな。 男はぼんやりとそんなことを考え、ほくそ笑んだ。 「執行日は明日とする。以上」 「……ふぇえ?」

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小説を読もう2026/03/01
  • 現在の作品スピード死刑 :約5000文字