あらすじ
魔法が絶対の価値を持つ、ミリス王国。
厳格な階級社会の頂点に立つミリス魔法学園に、ひとりの異端な少女がいた。
平民でありながら特待生として入学したマリー。彼女は、あらゆる魔法を「拳」で粉砕する謎の特異体質を持っていた。
そんな彼女の幼馴染は、学園の誰もが憧れる筆頭公爵家の嫡男、エラルド。
美貌と圧倒的な魔力を持ち「氷の貴公子」と呼ばれる完璧な彼だが、マリーにとっては四歳の頃から知る「泣き虫で放っておけない幼馴染」にすぎない。
――しかし、マリーは知らない。
誰にでも優しい完璧な青年の微笑みの裏側に、彼女の笑顔をただ純粋に守り抜くという、見返りを求めない神聖な誓いが隠されていることを。
十年前、自らを庇って背中に呪いの傷を負った少女に対し、彼がどれほどの深い献身と、言葉にできない恋心を抱き続けてきたかを。
『いつまでも君に手を引かれるだけの、か弱い弟分じゃないよ』
平和な学園の裏で静かに暗躍を始める、国を揺るがす闇の組織『灰の教団』。
マリーの傷跡がもたらす残酷な代償と、エラルドを縛る過去のトラウマ。
過酷な運命が二人を試すとき、ただの幼馴染だった関係は、静かに形を変えていく。
これは、不器用で真っ直ぐな太陽のような少女と、彼女のために完璧であろうとした青年の、十年越しに花開く初恋と戦いの物語。