あらすじ
2000年代初頭、インターネット黎明期。
顔も、本名も、性別すらも定かではないネットの世界でハンドルネームという仮面を被り、誰もが自分ではない「何者か」を演じていた。虚飾とデタラメが渦巻くその場所で、けれど、キーボードを叩く指先だけが熱を帯びていく。
「ネットなんて嘘ばかりだ」と笑う人達には分からない。
偽りのプロフィールを重ねたその果てに、剥き出しの言葉が、震える心が、重なり合う瞬間があったことを。
物理的な距離を越え、回線の向こう側で通じ合ったあの青い熱量。
僕たちは、嘘まみれの暗闇の中で、たったひとつの本物を見つけようとしていた――。