あらすじ

海沿いの児童施設で暮らす凛は、周囲と同じように過ごしているはずなのに、胸の奥に常にざわつきを抱えていた。
 
 その不安を静めてくれるのは、いつも抱いている白い木彫りのアヒルだけ。木製のはずなのに温かく、時に呼吸しているように感じられ、凛にだけ“声”を囁く。「ぼくがいるよ」「ほかのものはいらないよ」。その声は優しいが、凛の世界を少しずつ狭くしていく。

 子どもたちの笑い声は遠く感じられ、外の世界は“自分とは関係のないもの”に変わっていく。アヒルの白さは日に日に濃くなり、凛の胸には“白い影”が沈んでいく。
 施設に来た佐伯悠は、凛の周囲だけ空気が薄いように感じ、彼女の抱くアヒルに説明のつかない痛みを覚える。凛の世界が閉じていく一方で、悠の胸にも“深度”の気配が滲み始める。
 凛の胸に沈んでいた白い影が形を持ち、悠の前にも“影の子ども”が現れる。二人は気づかぬまま、深度への迷走を始めていく。

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アルファポリス
アルファポリス2026/02/28
  • 現在の作品アヒルの箱庭