あらすじ
出版社は事態を甘く見ていた。炎上は謝罪で収まる、問題は編集部だけの話だ――そう信じたまま、漫画アプリ「Manga First」の海外決済は静かに死に始める。理由は……児童搾取(CSAM)に関連する重大なリスクによるコンプライアンス・バイオレーション。
追放された社内監査の水城玲は、元編集者として現場も知る。真相究明に奔走する彼女の前に立ち塞がるのは、ヒットを量産し不祥事を隠蔽してきた悪徳編集・成瀬。大企業社長の息子で、圧力と“口止めの型”で不祥事を処理してきた男だ。だが今回は、SNSより先に「契約」と「監査」が牙をむく。
承認率の急落、入金の留保、取引先からの最終通告。玲は通告文を奪い、消されたログを掘り起こし、作家の引き上げを食い止めながら、成瀬が積み上げた“例外”の連鎖を断ち切ろうとする。だが成瀬は監査を折り、作家を分断し、迂回ルートで数字だけを戻してくる――皮肉なことにその動きが金融側の警戒を加速させ、停止のカウントダウンを早めるとも知らずに。玲は「売上を戻す戦い」から「崩壊の中で何を守るのか」へ、戦場を切り替えるしかなくなる。
決済が止まる日、救えるのは会社か、作品か、それとも次の被害を防ぐ仕組みか。玲が最後に握る“署名”は、黒幕を裁く鍵になるのか――それとも、守るための解体を選ばせる刃になるのか。