あらすじ
一度目の生を唐突に終えた俺が目覚めたのは、吹き抜ける風の音が心地よい、断崖の巣の中だった。
転生した姿は、純白の鱗を持つ一匹の「風竜」。
目の前には、不器用ながらも深い愛情で俺を育ててくれる、大きな母竜がいた。
竜としての生は、驚きと喜びに満ちていた。 風を掴んで空を舞い、母から生きる術を学び、ただ平穏に、誇り高く生きる。 けれど、その幸せは、人間たちの身勝手な欲望によって無残に奪われてしまう。
「母さん、俺が必ず守るから……」
母との別れ、癒えぬ喪失感。復讐の炎に身を焼かれながら、俺は孤独な旅を始めた。
人間を憎み、世界を呪い、それでも、出会ってしまった一人の少女や、平和を願う王女との交流の中で、俺の心は揺れ動いていく。
戦いの果てに、俺が本当に守りたかったものは何だったのか。
物語の舞台は、そこから「千年後」の未来へと。
長い、あまりに長い眠りから覚めた俺を待っていたのは、かつての仲間も、愛した景色も消え去った、冷たい鋼鉄の街だった。
魔法は失われ、見たこともない未知の技術が支配する世界。 取り残された俺は、遥か古代から遺された巨大な船に宿る、遠い過去の記憶と邂逅する。
かつての絆、失われた文明、そして宇宙の果てから迫りくる、星を呑み込むほどの脅威。
絶望に立ち向かうのは、魔法の翼と、未来の知恵を宿した、たった一匹の風竜。
これは、一人の青年が竜として生まれ変わり、千年を超えて繋がれる「誰かの想い」を背負って、星の海へと羽ばたくまでの、長くて温かな物語。