あらすじ
都を震わせた鬼――殺気童子。
悪の権化と恐れられたその鬼は、陰陽師・日比谷晴行によって討たれた。
だが、その鬼には娘がいた。
鬼の血を引く姫・伊月。
父を失った彼女は、妖力を封じられ、宮中で“鬼の娘”として蔑まれながら生きることになる。
八年後。
伊月の前に現れたのは、憎き仇の息子――日比谷真秀。
「半年後、あなたの角を折ります」
それは鬼にとって存在を否定される儀式――角折の宣告だった。
角折の儀までの半年間、伊月は真秀の監視下に置かれ、補佐として陰陽寮で働くことを命じられる。派閥争いが渦巻く寮内。兄である天文博士との確執を抱えながらも、真秀はただ一人、都を守るために立ち続けていた。
その姿を間近で見るうちに、伊月の胸にあったはずの憎しみは、少しずつ形を失っていく。
弟を守るため。
結界に囚われた妖たちを解き放つため。
そして、自分が何者として生きるのかを選ぶため。
鬼の姫は、父の仇の息子の隣で、運命に抗う。
これは、血の宿命と憎しみを越えて、やがて最愛へと辿り着く二人の物語。