あらすじ
軍事力が全てのガルディア帝国で、攻撃魔法を一つも使えない「落ちこぼれ」の王女アリア。唯一の取り柄は針の穴を通すような魔力の精密操作だけ。政略の駒として婚約者に据えられたゼクスの王子ダリウスには「無能」と罵られ、ひそかに描いていた花の絵はブーツで踏みにじられた。
婚約破棄。妹セリアへの乗り換え。そして父である皇帝からの追放宣告。
だがアリアの心にあったのは絶望ではなく、鮮烈な解放感だった。
重いドレスを脱ぎ捨て、画材だけを抱えて向かった先は、芸術を愛する隣国ルネサンス王国。そこでアリアの精密な魔力は「具現化描画」として覚醒する。描いた花は光り、香りを放ち、描いた鳥はキャンバスから飛び立つ。アリアの才能を見出したのは、ルネサンスの第一王子レオン。
一方、アリアが密かに維持していた首都防衛の魔力陣を失ったガルディアは崩壊を始め、やがて三万の軍勢でルネサンスに侵攻する。だがそこに立ちはだかったのは、かつて「無能な絵描き」と嗤われた一人の少女と、一枚のキャンバスだった。
戦場は、私のキャンバスだ。