あらすじ

「結城くんには、彼女がいる」――それは最初から知っていた。 映画好きの水野紗良は、前後の席になったことをきっかけに結城奏太と話すようになる。マイナーなバンド、単館系映画、少しひねくれたラスト。趣味が驚くほど合う二人は、あくまで“気の合うクラスメイト”として距離を保っていた。 しかし三ヶ月前、彼に勧められた映画を観た帰り道、偶然ばったり出会い、二人きりで語り合ったあの青空の日――紗良の心に決定的な「きっかけ」が生まれていた。 それは恋の始まり。 けれど、彼の隣には別の誰かがいる。 想いを伝える資格はない。 壊してはいけない関係がある。 それでも、半券は捨てられず、二枚申し込んでしまったライブチケットは行き場を失う。 向かいのホーム越しに目が合うたび、急行電車が二人の間を遮るたび、紗良は思い知る。 この恋は、空だけが知っている秘密なのだと。 やがて結城の恋人との関係に微かな綻びが見え始める。 期待してはいけないとわかっているのに、胸の奥で再び鳴る「カチリ」という音。 これは、叶わないと知りながらも止められない、痛いほどピュアで少しだけずるい片想いの記録。

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小説を読もう2026/02/28
  • 現在の作品恋人がいる君を、勝手に好きになってごめんね。――あの青空がきっかけだったなんて、君は一生気づかない