あらすじ
俺、節屋約(ふしややく)は、気がつけば異世界に勇者として召喚されていた。
召喚の儀式が終わるや否や、召喚主である王女が必死の表情で訴えてくる。
「どうか父上を助けるため、魔王を討伐してきてください!」
状況は理解できないが、王女の切迫した様子だけは伝わった。
だが、俺の持つスキルは「鑑定」「魔力簒奪」「節約」。
どう見ても魔王討伐向きではない。
とりあえず「鑑定」で国王を見てみると、体を蝕む呪いの正体が浮かび上がった。
そして、その呪いは、俺の「魔力簒奪」で解除できる、と。
半信半疑で試してみると、呪いはみるみる消えていき、国王は数日のうちに本調子を取り戻した。
「ここまでの協力、感謝致す。節屋約殿。望む褒美を何でも取らせよう」
国王はそう言ったが、俺は首を振った。
「金貨1枚で十分です」
人助けに大した労力も使っていないのに、大きな褒美を受け取る気にはなれなかったのだ。
後日、受け取った金貨1枚を袋にしまい、俺は城を後にした。
異世界での第二の人生が、ようやくここから始まる――。