あらすじ
都心近く家賃六万八千円の六畳一間で暮らす景司は、毎月の支払いに追われる生活に息苦しさを感じていた。便利さと引き換えに奪われる余裕。将来への不安を抱えながらも動けずにいた彼は、友人・高瀬の一言をきっかけに、家賃五万五千円の郊外の部屋へ引っ越す決断をする。駅から遠く、築年数も古い。しかしその一万三千円の差が、心と時間の余白を生んだ。積立、副業、仕事への意欲。生活は少しずつ安定し、自分で選び取る感覚を取り戻していく景司。家賃の高さに悩んだ日々は、やがて自立への通過点だったと気づく。これは、住まいを変えることで人生を立て直した一人の青年の再出発の物語である。