あらすじ
家族を失い天涯孤独となったみつは、親戚の染物屋に引き取られ、過酷な労働を強いられていた。
早朝のわずかな時間、彼女の心を癒していたのはひとつの物語の存在だった。
彼女はその物語に登場する極悪非道な物の怪の生き方に心酔し、辛い日常を乗り越える糧にしていた。
ある日みつは、この国に住まうあやかしを統べる頭領が新たに家督を継ぎ、人間の中から伴侶となる者を募っていることを知る。
みつが好きなのは物語の中の物の怪だが、その存在に最も近いあやかしの頭領に会ってみたい、話をしてみたいと強く願い、嫁候補となる。
その後めでたくみつは選ばれ、あやかしの頭領磨徒(まと)へと嫁ぐことになる。
物語は、みつと磨徒の婚礼の儀から始まる。
婚礼の儀のあと、みつは磨徒に己の本心を告げる。
みつの心は物語の中の推しに一直線のままだが、磨徒はそれを受け入れ、ただ己の目指す目標に力を貸してほしいと願い出る。
やがてぎこちなく歩み始めたあやかしと人間の夫婦は、一つの目標に向かって共に歩み始める。
互いに蔑み見下しあい、国交は限りなく断たれたあやかしと人間の関係性。磨徒の目標はそれを変えること。あやかしと人間の共生。
あちこちに根付く差別や偏見と真っ向から向き合いながら、夫婦は絆を深め、成長していく。
これは険しく壮大な目標に向かう夫婦が心を通わせ、夢を叶えるまでの物語。