あらすじ
佐野市の平凡な高校生・佐野智也は、運の悪さを自他共に認めるただの凡人。
ガチャはいつもハズレ、体育はビリ、雨の日は必ず濡れ、親の小言に耐えながら、
佐野ラーメンとイモフライを食べて今日も生きている。それで十分だと思っていた。
ある夜、コンビニ帰りに拾った謎の欠片が青く輝き、突然現れた妖精ピクシーに「借り物競走」のランナーにされてしまう。
「えへへ、ランナーくん! 欠片全部借りて、王様になろ♪」
ピクシーは無邪気に笑うが、その瞳の奥には「借りることでしか存在できない」妖精の孤独と執着が宿る。
彼女の力は「借りる」こと。運も平穏も佐野ラーメンのスープもイモフライの甘辛ソースも、すべてを借りて自分のものにする。
智也は全力で拒否する。「王様とか興味ねえ! 俺の平穏返せ!」
だが欠片に触れた瞬間から逃げられない。佐野の街が異界に侵食され、複製された英雄(レプリカ)たちが次々と現れる。
吸血鬼始祖スカサハ、十二勇士の青年シャルル、不屈のヘラクレス、真田幸村、狂気の少女アリス……。
彼らを操る「審判団」は、表向きは公正なルール監督者。だが裏では欠片を独占し、競走そのものを捻じ曲げようと画策している。
ピクシーは「借り物くん、走って走って! 欠片全部借りちゃうよ♪」と追いかけ、智也は「帰れ! 俺はただラーメン食いたいだけだ!」と全力で抵抗。
佐野ラーメン屋のカウンターで、厄除け大師の境内で、夜道で、借り物競走は続く。
欠片を集めれば複製玉座に座れる。座れば世界のルールを書き換えられる。
だが智也は思う。「王様なんて面倒くせえ。俺は運悪いだけの高校生でいい」
それでもピクシーは笑う。「ランナーくんが王様になったら、毎日佐野ラーメン食べ放題だよ? だから、一緒に走ろ?」
運の悪い凡人と、借り物が大好きな妖精。
佐野の街を舞台に、借り物競走はまだ始まったばかり。
果たして智也は平穏を取り戻せるのか、それとも――?