あらすじ
魔法と神秘が絶対とされる世界。
病は“神の試練”、癒しは“奇跡”。
人体解剖や医療研究は、神の領域を侵す大罪とされていた。
現代日本で無気力に生きていた派遣デザイナー・後藤は、駅のホームから転落し命を落とす。
目覚めたのは、異世界リアーノ村の孤児――レナート・ディ・リアーノとしてだった。
絵を描くことだけが好きだった少年レナート。
だが木から落ちた衝撃で前世の記憶が蘇る。
才能がないと諦め、逃げ続けた人生。
「どうせ自分には無理だ」と言い訳してきた過去。
しかしこの世界で、彼は気づく。
自分の“観察する力”が常軌を逸していることに。
一度見たものは立体として脳裏に再構築できる。
骨格を想像すれば筋肉の動きが見え、
血の巡りを考えれば身体の内部構造が透けるように理解できる。
しかしそれは、この世界が神秘で覆い隠してきたものを、
理(ことわり)として暴こうとする思考だった。