あらすじ
政略的な「三年間の白い結婚」の果て、夫・アルレルト卿の戦死により火葬場を訪れたエルマ。手元には期間満了を告げる離婚届があった。
冷遇されていたと思い込んでいた彼女だったが、遺された日記と戦友の書き写しには、戦場でも揺るがなかった夫の深い思慕が綴られていた。彼が「愛せない」と突き放したのは、死にゆく自分に妻を縛り付けまいとする不器用な愛ゆえの嘘だったのだ。
真実を知ったエルマは、夫の本当の願いと孤独に触れ、離婚届を火の中に投じる。彼女は自由ではなく、彼を愛した「妻」として生きる決意を胸に、春の光の中へと踏み出す。