あらすじ
二十年前、豪雪の温泉町で起きた雪崩事故。
多くの命が奪われ、町は“英雄”の決断によって救われた——はずだった。
フリーライター・霧島恒一は、事故の真相を記事にするため、閉ざされた雪守温泉郷を再訪する。
だが町の人々は口を閉ざし、証言は微妙に食い違う。
誰もが同じように言う。
「元町長・相原がいなければ、もっと死んでいた」
しかし、記録を辿るうちに浮かび上がる違和感。
不自然な怪我の痕。
曖昧な判断の根拠。
そして何より——事故当日の“空白の一時間”。
やがて大雪により町は孤立。
その夜、英雄・相原が密室で死亡する。
事故か、殺人か。
降り積もる雪は足跡を消し、
町の沈黙は真実を覆い隠す。
だが恒一は気づき始める。
消えているのは、町の記憶だけではない。
——自分自身の記憶もまた、都合よく削り取られていることに。
雪が溶けたとき、暴かれるのは犯人か、それとも過去か。
すべての証言が反転する、本格ミステリー。