あらすじ

広告代理店で働く「僕」は、田町駅のドトールでレポート用紙に文字を埋める柚と出会う。付き合い始めてからも、彼女はどこか消えてしまいそうな危うさを抱えていた。 パンを半分こし、コーヒーを一口分ける。そんな日常の些細な幸せを慈しんでいると思っていたのは、僕だけだったのか。 「好きなものは、ちゃんと全部食べておかなきゃいけないんだよ」 雨の夜、駅の改札で彼女が残した奇妙な言葉。それが最後になるとも知らず、僕は仕事の通知に目を落としていた。 彼女が事故で急逝した後、遺品の中から見つかった一通の手紙。そこに綴られていたのは、言葉のプロを自称していた僕が、一度も見ようとしなかった彼女の「孤独」と「返事」だった。 喪失から四度目の春、満たされない空腹を抱えた男の、祈りと後悔の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/02/26
  • 現在の作品彼女がいない、半分だけの世界