あらすじ
地上最大の力を誇った大魔導士が死んだ。
その死の瞬間、それまで人類に解呪不能だったいくつかの魔法が解けた。
いくつかの大魔法……中には罪深い呪いもあった。
百年近く昔、薔薇城の姫君は若さと美の頂点で醒めぬ眠りという呪いをかけられた。
そのとき16歳だったナージャ姫は九十九年眠って、115歳で目醒めた。
老いて皺だらけの自分の手指を見て悲鳴をあげる、ショックと深い嘆きによって。
魔法の眠りから目醒めた姫の頭脳と精神ははっきりしている。
みずみずしかった肌に深い皺が寄り、美しかったブロンドはすっかり白く、瞳の色は変わらないが目は落ち窪んでいる。姫は侍女から渡された手鏡を払い除けると羽枕に突っ伏し激しく泣きじゃくった。
父も母もとうに亡く、眠りにつく直前の誕生パーティに招いた花婿候補の貴公子も騎士も……自分を知る者はもう誰ひとりいない。
皮肉なことに眠り続けた期間、大きな戦がひとつ国同士の小競り合いが何回か起きていた。
戦争は終息しようやく平和が訪れようとしていた。
姫には薔薇城の他に、豊かな荘園それに魔力によって戦災野党団から守られた莫大な財宝の継承権があった。が、権力も財宝も、若さと美貌、女性が享受する幸福な時間を取り戻してはくれない。
姫は深い深い嘆きの沼に沈んだあと、激怒した。
姫の怒りの矛先が向かった先は……