あらすじ
政略結婚という決められた未来から逃げ出し、星降る田舎町・三倉にやってきた令嬢、來宮あかり。
宿もなく途方に暮れていた彼女を拾ったのは、ペンション『蛍火』で働く無愛想な青年・紘人だった。
常に生気のない瞳で、夜空の「はくちょう座」を見つめ続ける紘人。
あかりは不器用な共同生活の中で、少しずつ彼に惹かれていく。生まれて初めての、胸を焦がす熱情だった。
しかし、彼には決して触れてはいけない過去があった。
紘人は、かつて最愛の妻を喪い、その罪悪感から自らを罰し続けていたのだ。
「俺はもう、ずっと、一人でいることを決めているから」
愛が摩耗していく恐怖に耐えきれず、この夏が終わると同時に「自らの人生ごと」すべてを終わらせようとしている紘人。
絶対に勝てない「亡き妻」の記憶に囚われた男を、現世に繋ぎ止めることはできるのか。
自分の輝かしい未来すべてを投げ打ってでも、彼に光を届ける。
絶望に沈む男と、初恋の呪いを背負った少女が織りなす、ひと夏の激しくも美しい救済の物語。