あらすじ
「愛してるよ、美月。君だけが僕の女神だ」
そう囁くスマホの画面に、私は人生の全てを捧げた。
貯金を切り崩し、借金をし、最後には自分の体さえ売って――。
総額一億二千万円。
それが、恋の値段だった。
【あらすじ】
ごく普通のOLだった主人公・美月は、国民的アイドルグループ『SIRIUS(シリウス)』の絶対的センター・新城(しんじょう)蓮(れん)の大ファン。
ある日届いた「極秘結婚オーディション」の招待状。それは、生成AIとディープフェイク技術を悪用した、凶悪な結婚詐欺の入り口だった。
「投げ銭ランキングで上位になれば、推しと結婚できる」
精巧に作られたAIの「新城蓮」からの甘い言葉と、自分だけに向けられるビデオメッセージ。
その泥沼にハマった美月は、課金のために風俗に沈み、借金まみれになり、ついには全てを失ってアカウントを削除される。
金も、尊厳も、生きる希望も失った雨の夜。
死に場所を求めて彷徨い込んだハンバーガーショップで、美月は奇跡のような、あるいは残酷な運命に出会う。
そこにいたのは、AIではない、生身の「本物」の新城蓮だった。
「……チッ。こんな時間にも湧いてくんのかよ」
幻滅と絶望の対面。しかし、美月が突きつけた「証拠動画」を見た瞬間、蓮の態度は一変する。
自分の顔と声が無断で使用され、ファンが食い物にされている事実を知った蓮は、激怒し、美月にこう告げた。
「協力してやるよ。その詐欺グループ、ぶっ潰すぞ」
自殺志願者の元ファン × 激怒する国民的アイドル。
利害が一致した二人は、ともに敵と戦う「同志」となり、詐欺グループを壊滅させるための、一世一代の大芝居(復讐劇)を開始する。
美月は再び「カモ」を演じてアジトを特定し、蓮は自身の持つ影響力と財力を武器に、社会的な公開処刑の準備を進めていく――。
【本作の要素】
◆現代の闇「AIディープフェイク詐欺」
推しの顔も声も本物そっくり。けれど中身は悪徳業者のおじさんたち。現代社会に潜むリアルな恐怖と、そこからの逆転劇を描きます。
◆痛快な「ざまぁ」と復讐
人生を搾取された底辺からの反撃。ラストの「緊急生配信」による公開処刑と、悪徳業者への制裁はカタルシス抜群です。
◆本物の「溺愛」
偽物の甘い言葉(フェイク)ではなく、不器用で口は悪いけれど、温かい体温のある本物の愛。
「俺のファンを馬鹿にするな」
「お前がいなきゃ、俺はただの空っぽな偶像だ」
共に戦う中で芽生える、アイドルとファンの垣根を超えた絆と、秘密の同棲生活。
嘘と絶望から始まった関係が、やがて「真実の愛」へと変わるまでの再生の物語。
全10話の短編連載、完結まで一気にお届けします。