あらすじ

──大切な人を失った、すべての人へ。 「百合も喜んでるよ。」 もういない人の心を、語ってもいいのだろうか。 痛みは、慣れていくばかりで、消えることはない。 そんなふうにしか受け止められないのは、自分が子供だからなのか。 それとも、大人は痛みのない顔をしているだけなのだろうか。 大学生のモトは、ある冬の日、隣家の“お姉さん”だった百合の訃報を受け取る。 彼女が遺したのは、何気ない言葉が綴られた絵葉書と、彼女の生きた時間そのものだった。 返事を書くのをやめたのは、自分だった。理由はなかった。 けれど、その選択のあとに残ったのは、確かな後悔だった。 胸の奥に痛みを抱えたまま、モトは北の町・藻川へ向かう。 待っていたのは、不愛想な映画館の管理人・永原と、目の奥に強さを宿した女性・ミネ。 そこで交わされる言葉、照らし出される記憶。 静かな対話のなかで、モトは少しずつ、「描くこと」を通して、自分自身の痛みに触れていく。 描くように、語るように。 伝えたかったことは、胸の奥に、ずっとあった。 色が、言葉が、光ったとき――痛みと、生きていける。

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小説を読もう2026/02/02
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