あらすじ

私は、自分がやり込んだ乙女ゲー『薔薇と誓いの銀冠』の大悪役、クローディア・ヴァンデルートに転生してしまった。 未来は約束されている。ゲーム本編開始から三年後、主人公たる平民の少女ルナに敗れ、全てを奪われ、悲劇の末に死ぬ。 ……ふうん。でも、私、少し気がついたんです。 この世界、めっちゃ綺麗じゃないですか? 魔法が実在して、空飛ぶ馬車が走って、街並みはディズニーランドみたいで。 そして何より、私の「役割」はまだ始まっていない。今はまだ、ただの公爵家の一人娘です。 ならば――そうと決めた。 「悪役令嬢のシナリオ、そっちでどうぞ。私は、この絶景を『観光』しますから」 王子たちの争いに首を突っ込む代わりに、噂のパティスリーを食べ尽くす旅。 陰謀の舞踏会では、料理の感想しか言わない。 取り巻きの悪友たちには「今日はどこのお店がおすすめ?」と観光ガイドを強要。 宿命のライバル、ルナが現れたら、いち早く友達になって「この国の隠れ名所、教えてあげる!」と押し売りする。 予定調和の破壊。脚本のない毎日。ただ、美味しいものを食べ、美しい景色を見て、この世界を心から楽しもうとした。 それが、なぜか、全てを狂わせ始めた。 「…お前は、いったい何者だ?」 冷徹な獅子皇子が、私の食べていたスフレを興味深そうに覗き込む。 「君の話す世界は、あまりにも眩しい」 本来は敵であるべき執事長が、小さな笑みを浮かべて秘密の庭園へと案内する。 そして、運命の主人公ルナは、困り顔でそう言った。 「クローディアさん、あなたが悪役なんて、誰が信じますか!?」 私のただの「観光」が、世界の「常識」を優しくひっくり返していく。 これは、悪役令嬢が一切ダメにならず、ただマイペースに楽しんだら、なぜか誰もが振り回され、しかも一番素敵な恋が転がり込んできた、とある観光客の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/02/02
  • 現在の作品ああ、悪役令嬢の役割はもう飽きました。今日からはこの世界を『観光』します