あらすじ
主人公の立花りさは、ニューヨーク生まれの帰国子女。アメリカ人で写真家だった父親のフィリップと日本人でファッションデザイナーとして、夫と同様ニューヨークで活躍していた母親の瑠美子との間で次女として生まれた。三歳上には姉のめいがいた。
仕事柄、一家はニューヨーク郊外に住まいを構えていた。ところが、りさが三歳の時に父親が病気で急死してしまう。そこで残された三人はやむなく、母親の実家である東京へと帰国し、りさは祖父母らと同居することになったのだった。
慣れない環境のなか、りさは幼稚園で佐倉純というひとりの男の子と知り合った。こののち二人は、そのまま成長と共にお互い惹かれ合い、恋愛関係へと発展してゆくことになる。
そうしたなか、りさは小学四年の時に偶然にも、世界陸上の女子走り高跳びのテレビ中継を見て心を奪われた。もともと子供の頃から運動神経がよく、父親に似て身長も人一倍高くなっていったりさは、中学生になると、スポーツにも力を入れていた中高一貫の私立女子高の陸上部へ迷わず入部した。
一方の純は、父親の影響でロック等の音楽に目覚め、やがてバンド活動を始めることになる。スポーツと音楽、それぞれお互い模索しながらも、二人は意識し高め合い、愛情を深めてゆくのだったが。
陸上部に入部後、りさの走り高跳びにおける素質には光るものがあった。そして、高校生になって、元橋という大学出たての新任コーチとの出会いが、さらにりさの秘めた能力を引き出していった。
主要大会で優れた成績を残すにつれ、ハーフという容姿も相まって、りさは次第にマスコミに注目され世間に知られるようになっていった。その頃、純も同様に学生バンドとして評価を得始めていた。
二人は大学に進学しても、それぞれの夢を追い求めた。りさは陸上で数々の実績を残していた大学へ、純はインディーズながらレーベル会社との契約を果たしたのだった。
そんななか、りさと純は大学三年生の春休みだった二月に、都合よく北海道へ二人で旅行へ行くことができた。だがこの旅行中、レンタカーで支笏湖へ向かう雪道で、二人は自動車事故に巻き込まれてしまう。幸いにもりさは命に別状はなかったが、運転していた純は帰らぬ人となった。
悲嘆に暮れるりさ。陸上への意欲もわかない日々を過ごす。そんなりさに救いの手を差し伸べたのは、高校時代の恩師元橋だった。やがて元橋の熱意に押されてりさは、夢を途中で絶たれた純の分まで頑張ろうと、陸上部に復帰する決意を固める。その間、家族や部員仲間の支えもあって復帰後、りさは記録を伸ばし続け、ついには女子走り高跳びの日本記録まで、あと二センチと迫って、オリンピックの代表候補にも名が挙がった。
そして、大学四年には日本選手権に優勝し、日本記録更新の舞台に、りさは立ったのだった。これは、夢を追い続けるひとりの女子アスリートの、青春と成長の物語である。