あらすじ
終電を過ぎた駅裏のラブホテル街。
高校生の「体験入店」と、変な風邪薬と、ワゴン車が揃ったとき、
そこに現れるのは「偏運師」。
揺れている未来の出目に、ほんの少しだけ指をかけて、
誰かの夜を“マシなほう”へずらす仕事だ。
死んだ青年が遺した「街の偏運バランサーAI」と、
生身の偏運師の帳尻が交差するとき、
この街の闇は、静かに“最適化”されはじめる――。
職業:偏運師。
世界のサイコロに文句を言う係の物語。
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◼️偏運師(balance of account)
偏__かたよる。中正でない。
運__《名》めぐりあわせ。さだめ。はこぶ。うつす。
師__教え導く人。帳尻をつける者。
偏運師には、誰かの「次の選択」から先に分岐する、いくつもの線が見える。
胸元のサイコロペンダントを弾けば、「少しはマシなほう」の線だけ、確率をわずかに太らせられる。
そのぶん、世界のどこかで別の不運が太る。
運は移動するだけで、増えない。
白を通せば、どこかで黒が太る。
それでも世界では、「因果のツケ」だけは消えずに残る。
誰かが他人に押しつけて太らせ続けた黒は、勘定として、どこかに溜まり続ける。
偏運師は、ごくまれに、そのツケを元の持ち主に束ねて返すことができる。
俺は、それを「因果返し」と呼んでいる。
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