あらすじ
――なあ、ほら! やっぱりあそこの人さ……。
――ああ、似てるな……。
「またか……」
夜のバー。薄暗い照明に煙草の煙が溶けて、グラスの乾いた音がかすかに響いている。おれはぼそりと呟き、声のしたほうへ体ごと向けた。テーブル席に座る二人の男が、こちらを窺うように見ていた。おれの視線に気づいた瞬間、二人ともギョッとした顔で固まった。
もはや見慣れた反応だが、それでもどこか可笑しくて、おれは笑いを堪えた。口角をほんの少し上げる程度に留め、グラスを持ち上げて軽く会釈した。すると二人は、緊張が解けたように肩を落とし、ぎこちなく会釈を返してきた。
――人違いっぽいな。
――ああ、でもかなり似てたよな……。
「指名手配犯に……か」