あらすじ
帝国と王国が長年争う戦乱の時代。
王国軍の下っ端書記官アルト・フェルディナンドは、戦場に出る予定など一切なかった――はずだった。
ところが補給の手違い、命令の誤解、本人の極度の緊張が連鎖し、
「逃げ遅れた結果、敵軍の進路を偶然ふさぐ」
「転倒した拍子に敵将が落馬する」
「無言で立ち尽くしただけで、敵が深読みして撤退する」
といった“奇跡”が連発。
本人はただ
「何も分からない」「怖い」「帰りたい」
と内心で泣いているだけなのに、周囲は完全に誤解する。
――この男は、すべてを計算している。
沈黙は熟考。
動かないのは誘導。
逃げ腰は罠。
そうしてアルトは、
「幸運の軍神」
「沈黙の軍師」
として前線から王都へ召喚されてしまう。
王城では、
・国王が「偶然でも結果は結果」と評価
・王女セレナが政治的象徴として彼を担ぎ
・貴族たちは敵か味方か判断できず右往左往
・敵国は「戦争より危険な男」として暗殺を決定
と、本人の知らぬところで情勢は加速度的に悪化(=盛り上がり)していく。
アルト自身は一貫して無自覚。
「何も考えていない沈黙」
「運だけで切り抜けた判断」
「たまたま居合わせただけの現場」
――それらすべてが
“国家レベルの深謀遠慮”として解釈され続ける
勘違い戦記コメディ。
戦争・政治・恋愛・暗殺。
すべてが絡み合う中で、
最も弱気な男が、最も恐れられる存在になっていく。
だが本人は今日も思っている。
(これ、いつバレるんだろ……?)