あらすじ
都市部の大病院で初期研修を行っていた研修医・裕平は、卒後臨床研修の一環として、離島での二か月間の研修に赴く。島には病院が一つしかなく、常駐する医師はわずか二人。都会とはまったく異なる医療環境の中で、裕平は戸惑いながらも日々の診療にあたっていた。
研修も終盤に差しかかったある日、裕平は、膀胱がんを患う高齢男性を診察する。がんは進行しており、腎不全を伴う末期状態であることが判明する。しかし、島では専門的治療や緊急処置は行えず、島外の専門医療機関への受診が必要だった。
裕平は島外受診を勧めるが、患者と家族は、長年にわたる通院と治療に疲れ果て、「この島で最期を迎えたい」と望む。限られた医療資源の中で、治療を行うか、行わないか、延命か。初期研修医である裕平は、その重い選択を一人で引き受けることになる。
やがて患者は自宅での看取りを選び、裕平は往診と緩和ケアに関わる。患者を見守り、家族の思いに触れ、死に立ち会う中で、裕平は、医師としての判断が誰かの人生そのものを左右することを、身をもって知る。
恐れと責任を抱えながら、それでも決断を下すこと――その重さこそが、医師という仕事の本質であることを。