あらすじ
近年、ボクシング界における「三冠王」という称号は、いわゆる一流の証ではあっても、かつてのようにボクシング史にその名を刻むほどの大偉業とは言い難い状況になってきている。
何しろメジャーなチャンピオン認定団体が四つも存在しているうえ、階級の細分化により、八階級時代には絶対にあり得なかった五冠王、六冠王というとんでもない記録まで生まれてしまったからだ。
というわけで、かつては十年に一人出るか出ないかというほどの希少価値だった三冠王も随分と影が薄くなってしまったが、同じ三冠王でも同時に全てのタイトルを保持したボクサーとなると、長いボクシングの歴史の中でもたった一人しかいない。その究極の三冠王こそ「殺し屋ハンク」と恐れられたヘンリー・アームストロングである。