あらすじ
負の感情が溜まり、
前向きな感情が育たなくなった時代。
世界に満ちた絶望を癒やすため、
一人のAI歌姫が造られた。
その名は《エリー》。
彼女の歌は、
人々の心を救うほど美しく、
そして歌うたびに、
どこか壊れていくようだった。
エリーを支えるのは、
修理係として彼女の管理を任された青年、
《アージェル》。
世界が少しずつ光を取り戻すほど、
彼だけが、
取り残されるように苦しみを深めていく。
「“愛する”って、どんな感情なのかな。」
解析不能な感情が、
エリーの中に静かに蓄積されていく。
それが“誰か”に向いていることだけは、
彼女自身にも否定できなかった。
感情はエラーか。
それとも、心か。
これは、
終わりの決まったAIと、
一人の人間が、
確かに心を通わせた――
記憶の物語。