あらすじ

ドームを満員にし、一回のライブで数億円を稼ぎ出す超人気ロックバンド。しかし、その輝かしい栄光の裏には、決して公にはできない暗い真実があった。所属事務所の実態は反社会勢力のフロント企業であり、彼らが生み出す莫大な興行収入は、そのまま組織の活動資金――拳銃や違法薬物の仕入れ値――として闇社会へ流れていたのだ。 バンドの顔であるボーカリストの「俺」は、ファンの純粋な愛が暴力へと変換されるシステムに絶望し、精神をすり減らす日々を送っていた。表向きは親しげな事務所役員も、裏では彼らを単なる「集金装置」として扱い、逃げ場のない「光の檻」に閉じ込めている。皮肉なことに、苦悩の中で絞り出した新曲はアニメ主題歌として大ヒットを記録し、売れれば売れるほど組織との結束は強固なものとなっていく。 ある時、コンサートの設営現場に駆り出された組織の若い衆が学生バイトを怒鳴り散らすトラブルが発生する。さらに、送迎車の運転手からは気安く違法薬物を差し出され、「俺」は自分がアーティストではなく、単なる「日の当たる場所に立たされた構成員(お飾り)」に過ぎない現実を突きつけられる。 そんな彼らにとって唯一の希望は、ブームが去り、世間から「飽きられる」ことだった。人気が落ちて金のなる木としての価値がなくなれば、組織から解放されるかもしれない。メンバーたちは夜な夜な集まり、かつて消えていったバンドを羨み、自分たちの「没落」を願って乾杯する。 やがて事務所は、新たな資金源として新人アイドルグループのオーディションを開始する。その選考会で「俺」は、圧倒的な才能と無垢な笑顔を持つ一人の少女を目にする。彼女が売れれば自分たちは用済みになれる――。「俺」は彼女が次なる生贄となることに深い罪悪感を抱きながらも、彼女が自分たち以上に成功し、自分たちを捨て去ってくれることを神に祈るのだった。

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小説を読もう2026/02/02
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